私が暮らしているミュンヘン近郊の小さな町では、市内と比較するといくらか広めの庭が付いている住宅が多いため、緑豊かな自然に囲まれている感じがします。このような環境なので、犬や猫などのペットを飼う人も多いです。また、町の周囲は畑に囲まれているため、野生のウサギや鹿、小さなネズミなどもよく見かけます。そして、時には野生のハリネズミ(Igel)が庭に住み着くこともあるようです。
ハリネズミは警戒心が強く、夕暮れ時から夜、早朝などに活発に行動することが多いため、離れたところから眺めるくらいだったのですが、珍しく人懐こい子がやって来ました。最初に現れたのは数カ月前の、ある肌寒い日です。風邪でも引いていたのか、テラスの隅っこの物陰で咳をしながら休んでいました。野生動物なのであまり人が手を出すのは良くないかとは思ったのですが、つい可哀相になって水と食べ物をあげてみました。ネットで検索したところ、キャットフードは適しているとのこと。我が家には猫がいるので、幸いエサには困りません。しばらくすると「カリ、ポリ」と食べる音が聞こえてきたので、一安心。2日ほどで元気になったようで、姿を消しました。
野生動物とは思えない人懐っこさでエサをねだる
ところが最近、また同じような大きさの人懐っこいハリネズミが現れました。エサをねだって後を追いかけてくる様子はかわいいのですが、注意を引くためか足に噛みつこうとするのには参りました。歯は立てないのですが、噛まれるとかなり痛いです! なお、野生のハリネズミは特別な保護対象となっているため、基本的に飼育は禁じられています。自然保護団体などのホームページで情報を見てみると、病気や怪我などで保護が必要な場合にのみ世話をしてあげることが可能なよう。野生のハリネズミのテリトリーは意外に広く、一戸建て数軒分に及ぶそうです。基本的には単独行動し、冬眠をします。主食は虫です。冬眠前後の寒く、多くのエサを必要としている時期以外は、暑さと乾燥が続いたりしても基本的に自力でエサを見つけることができますが、ハリネズミを助けたいのであれば、コンポストや落ち葉たまりなど身を潜めることができる場所や、水を飲みやすい環境を庭に作ってあげると良いそうです。より積極的に関わりたい方は、小さな小屋を作ってあげても良いようですが、その場合は猫などが入り込めないように入り口を狭くする必要があるそう。また、治療を必要とするような場合には、専門知識のある獣医さんを探した方が良いようです。
我が家の猫と、水場をシェア
私のところに現れたハリネズミにはかわいさに負けて何度かエサをあげましたが、数日するとまた姿を消しました。無事に自然の中で暮らしているであろうとホッとしつつ、ちょっぴり寂しいような気もします。
バイエルン野鳥保護連盟 (LBV):www.igel-in-bayern.de/igel-infos-wissen
Pro Igel:www.pro-igel.de
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。