ベビーカーを押しての散歩が、いつもの買い物コースでは面白くないと感じている方は多いのではないでしょうか。エルベ川にかかるアウグスト橋の上から川沿いの遊歩道を見ていると、実に多くの人々が行き交い、朝からジョギングをしている人たちを見かけますが、午後になると“ラッシュアワー”です。本格的なサイクリング、連れ立って散歩しているベビーカーの群れ、すり抜けて行くローラーブレード、ビール片手の若者たち、ゆっくり歩くご年配方、犬の散歩などなど。もちろん土手に座って語らう人もいます。近所のドイツ人ママ友達に誘われてこの遊歩道沿いを上流(プラハ方面)方向に散歩して以来、私と娘のお気に入りのルートになっています。
遊歩道の途中にある野外ステージ
アウグスト橋からスタートすると、まず対岸に宮廷教会や聖母教会を始めドレスデンの顔たちを一望できます。次のカローラ橋の手前には夏季限定の野外ステージがあり、土手に設置された客席とステージの間を通り抜けます。映画やコンサートが開催され、人気ロックバンドの公演がある時などは橋の上や会場外の川辺にまで人が溢れて、この辺り一帯は熱気に包まれます。しばし歩き、アルベルト橋を越えるとローゼンガルテン(Rosengarten Dresden)に到着します。1935年に開園し、約3万㎡の細長い敷地に約100種のバラが栽培されています。第2次大戦時の爆撃と2002年の洪水を経て、その度に被害を受けてきましたが、今日では毎年見事な色とりどりのバラが訪れる人々を楽しませています。
アウグスト橋からちょうど1キロ歩くと、ローゼンガルテンの端にあるカフェに到着。ここが散歩の折り返し地点であり、同時に私たちのお目当てでもあります。気候のいい時にはテラス席が気持ちよく、昼からビールでもよし、生クリームがたっぷりのアイスの盛り合わせでもよし。室内外に子どもの遊び場があるので、子ども連れには嬉しい場所です。帰りが夕方近くになった時には、アウグスト橋手前に並ぶ歴史的建築物が夕日を浴びて違う表情を見せてくれます。散歩の最後まで楽しみがある、これは重要です。
カフェ・ローゼンガルテン内、子どもの遊び場があるテラス席
ピザ、ビール、アイスクリームを堪能
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/