ハンザ自由都市時代、無関税領域として海外貿易の取引が盛んに行われていたエルベ川の中州。当時は主に、じゅうたん、こしょう、コーヒー、紅茶などが取引されていて、運河沿いには今も多くのレンガ造りの倉庫が並んでいます。倉庫は船を横付けし、運んできた商品を直接降ろす事ができる構造になっていて、建物の壁面には積み荷の上げ下ろしに使用されていた滑車が付いています。
この倉庫街は19世紀に無関税の優遇措置が廃止されてからは、商取引の中心地としてはさびれていきました。しかし、街の中心地から近いため、現在は「ハーフェンシティー」の名称で、新たな居住地域、オフィス街としての開発が進められています。現在までに6000戸の住居が建てられ、4万5000人の新たな雇用が生まれました。古い倉庫街の中にもミニチュアワンダーランドなどの娯楽施設が入るようになり、観光地としての顔も持っています。新しい道路もどんどん作られているのですが、その中にOsakaallee(大阪通り)と名付けられた通りがあります。ハンブルクは大阪と姉妹都市ですから、この名が付けられたのでしょう。同じ名前で、ちゃんとバス停もあるのですよ。
これが大阪通りのバス停
その大阪通りに、「オオサカ9、持続性パビリオン」という展示館があります。ハーフェンシティーは、21 世紀の町づくりとして、環境に優しく持続性があり、動きやすく効率的な都市開発を目指しています。具体的には、エネルギー効率を考えた町の構造や、再生可能エネルギーを利用した住居建築などです。「オオサカ9、持続性パビリオン」では、開発前の倉庫街の写真と現在の写真、そして今後の計画などが展示されていて、どのようなコンセプトでハーフェンシティーの都市開発が進められているかを知ることができます。街の中に自然を取り入れて、人の心がくつろげる空間を生み出すことも重要なポイントです。このパビリオンでは、環境問題やエネルギー効率について、職員が質問に丁寧に答えてくれます。入場は無料で、フェアトレード、そしてBIO(オーガニック)にこだわった小さなカフェもあるので、ハーフェンシティーの観光で歩き疲れたときに立ち寄ってみてもいいかもしれませんね。
パビリオン内に展示された、ハーフェンシティーの今昔
コンセプトに従って、ハーフェンシティー内を案内する無料のツアーもあります。日曜15時出発、木曜18時出発(4月~10月のみ)、事前申し込みは必要ありません。ハーフェンシティー内で、すでに完成している建物は、まだ5分の2ほど。ハーフェンシティーがどう変化していくのか、これからも目が離せません。
ハーフェンシティー:www.hafencity.com
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?