5月13日までの予定でハノーファーの市民大学(Volkshochschule)のロビーでは現在、「消費コンパス」という展示が行われています。「衣類」「食べ物」「住居」「交通」「消費エネルギー」などテーマ別になっており、展示物を触ったり、見て回ったりしながら、知識を深めることができます。
例えば、「ラベル」は何のためにあるのか? ブランド名だけでなく、生産国の労働者を搾取しない「フェアトレード」や、再生紙を利用している「ブルーエンジェル」、オーガニックの「ビオ」などのほか、エネルギー消費など具体的な情報を示すものもあります。いずれも買い物をする際の指針となる情報です。
ラベルは商品の中身と質を表しています
交通の展示では、車を利用するのか、バスや列車で行くのかで変わる地球への負荷についての展示がありました。例えば、飛行機は一度乗っただけで、大きな影響を及ぼすことが分かります。
照明の展示は、最近普及してきた省エネ電球やLEDについて。明るさは既存の電球と変わりないのですが、消費電力は数倍違い、寿命も長くなっています。また、家電についてのゾーンには、家電製品などの省エネレベルをあらわすEU統一ラベルについての展示が。これは冷蔵庫や洗濯機、乾燥機などの大型家電製品についているもので、例えば洗濯機では、「A+++」が最高となっています。省エネ仕様のものを買うと、労なく省エネにつながるため、新規購入の際に注意して買ったほうがいいのだなぁと、展示を見ながら思いました。また、コンピューターやテレビなど、日々長時間使うものの省エネを考えることも重要です。
さらに、毎日シャワーを浴びるのか、ペルーのオーガニックTシャツを着るのか、中国製のジーンズをはくのか、旅行を頻繁にするのか、毎日肉を食べるのかなどのライフスタイルによって消費エネルギーは大きく違ってきます。そのため、自分で条件を入力して消費エネルギーを測るコーナーもありました。
買い物についての意見コーナーでは、「個包装の商品を買わない」「コーヒーなど使い捨ての紙コップが使われ過ぎている」「スーパーのビニール袋は海を汚染する」など、展示を見た人が思い思いに意見を書いています。
買い物袋をかたどった展示
ただ見るだけでなく、考えたり、自分のライフスタイルを入力したりする展示で、楽しく見学できます。普段、何気なく買い物していますが、展示を通してどういう背景があるのか理解でき、考えるきっかけにもなります。自分の考えを消費によって表すことができるということも分かりました。市民大学は、旧市街に位置していて場所も良いため、多くの人の関心を集めています。
入場無料。ドイツ語での無料案内は、4月30日(土)13時~。
公式サイト: www.hannover.de/Veranstaltungskalender/Ausstellungen/KonsumKompass
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。