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「シュトゥットガルトの夜」を駆け巡る

前回の記事で紹介した「Stuttgartnacht(シュトゥットガルトの夜)」。市内のさまざまな施設で同時に行われる、このアートと文化のお祭りについて、今回ももう少し紹介したいと思います。この名の通り、これは夜のイベントです。夕方の19時からスタートして夜中の2時まで、70もの会場でバラエティーに富んだ催しが、ほぼ同時に開催されます。年に一度の人気行事で、昨年で14回目を迎えました。

たった一晩の間に、これだけの数の会場を回るのはとうてい無理なことですが、どんなものがあるのかと、プログラムをのぞいてみると、劇場やコンサートはもちろん、一風変わったものもたくさんありました。最も気になる4カ所をチョイスして、実際に行ってみました。

まずは、「懐中電灯の散歩道」。カールス広場から無料シャトルバスに乗って、ハイランズ教会(Heilandskirche)で降りました。教会前が集合場所になっていて、ここで懐中電灯を配られ、暗闇の中のお散歩スタート! 夜のヴィラベルク(Villa Berg)には街灯がほとんどなく、辺りは暗闇と静けさに包まれていました。皆の懐中電灯が地面を照らし、あちらこちらで光の輪を作り出します。空が曇っていたせいか、町の光が反射して、かすかに木々や道、そして歴史とロマンスを感じさせる建物が見えます。20~30人のグループでしたが、誰も大きな声で話すことなく、ガイドの後をひたすらついて行きます。歩くスピードはやや速めで、なんとも不思議で新鮮な経験です。

舞台
散歩の途中、暗闇に浮かび上がる舞台

これだけでも面白いのに、突如石垣の上に暗めのスポットライトで照らされた舞台が出現。ここで役者たちがゲーテの名劇『ファウスト』のワンシーンを演じるのです。立ち止まること5分、演劇がまだ続いているのに、スポットライトの光が消え、一行がまた先に進みます。しばらくすると、また思わぬところで役者が現れ、観客の私たちがその舞台の中を通り抜けていく、というユニークな演出でした。1時間ぐらいかけて、公園内をいつの間にか一周して、また元の教会に戻ってきました。

中に入れなかったボートシアター
中に入れなかったボートシアター

散歩の余韻に浸ったまま、急いで次の会場へ。お目当てはネッカー川に泊まっている、「ボートシアター Theaterschiff」。ここでコメディーショーを見るつもりでしたが、あいにく開演時間を逃してしまい、断念せざるを得ませんでした。さらに、前回紹介した「内務省のガイドツアー」へ行き、その後、「墓地コンサート」に行ってみました。会場のあるお墓は、夜も更けて風がビュービュー吹き、普段なら絶対行かないであろう場所と時間……。しかし、ここで聞いたジャズの演奏は、場所の雰囲気とは反対に、思いの外陽気なものでした。

私たちは何とか頑張ったもののせいぜい4カ所しか回れませんでしたが、まだまだ気になるプログラムがたくさんあったので、これから毎年行きたいと思っています。

全会場共通券17ユーロ、前売り券15ユーロ
www.stuttgartnacht.de

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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