ジャパンダイジェスト

美術館の託児所

芸術に興味があって美術館に行きたくても、小さな子供がいるとゆっくり美術鑑賞するのは難しいものです。私も一度、どうしても見に行きたい特別展に子供と一緒に行ったのですが、作品に手を触れないか、大きな声を出さないかと気が気でなく、とても芸術を楽しむ余裕はありませんでした。そんな「子持ちアート好き」にお勧めしたいのが、シルン美術館にある室内遊戯託児所「ミニシルン」です。

本誌976号(2014年4月18日発行)でご紹介したシルン美術館は、美術品を所蔵せず企画展のみで運営されている美術館です。2014年末からスタートした託児スペースは、美術館の地上階にあります。開催中の企画展の入場チケットを持った大人が一人いれば、3歳から8歳までの子供を最大90分まで無料で預かってくれます。

普段は子供しか入れない遊戯室ですが、毎週水曜日の15時からは大人も一緒に入館できます。まずは入り口で専用ボックスに靴を入れ、かばんやコートを掛けておきます。このスペースでは飲食も可能で、持参したスナックや飲み物で休憩している子供もいました。

ミニシルンエントランス
エントランスで靴を脱ぎ荷物を置いたら、館内で自由に遊べます

ミニシルンは2階建てになっており、上の階は5つの区画に分かれています。最初の区画には絵本が読めるスペースと、木製パズルや色付き開閉窓、光のプリズムのプレートなどがあります。色付きの開閉窓では、数種類のカラープレートをスライドして色を組み合わせることができ、子供たちはスライドするのが楽しいのか、何度もプレートを動かして遊んでいました。天井と床が合わせ鏡になっている区画では、どこまでも上下に像が重なって無限に天井と床が続いているように見えます。まるで高い建物の上に立っているかのように、床が奥へと続いて見えるので、大人でもドキドキ。子供たちも「あそこにも私が見える!」と、ずっと連なる像を指差して喜んでいました。さらに影を壁に映し出して遊べる部屋では影を見ながらノリノリでダンスしたり、三角クッションを重ね合わせて自在に組み立てられる部屋ではテントを作って遊んだりと、それぞれの区画で独自の遊び方を楽しめるようになっています。

ミニシルン
床と天井が合わせ鏡になっている部屋は、上にも下にも無限に像が広がります

下の階にはシーソーや滑り台があり、狭いトンネルを通って上の階に行き、滑り台で下の階へ降りるなど、アクティブに動き回れます。さすが美術館の託児室だけあって、色使いやデザインもおしゃれで素敵なものばかり。子供たちが飽きることなく遊べる工夫があちこちに見られました。

こうして子供が楽しく遊んでいる間、大人はゆっくり美術鑑賞を楽しめます。幼稚園から小学校低学年のお子さんがいらっしゃるアートファンにお勧めの楽しい施設です。

シルン美術館
www.schirn.de
ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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