ハンブルク日本人会の近くにある日本食レストラン「小紋」の店内は、まさに小さな日本空間。それも外国人が想像する、いわゆる「伝統的な日本」ではなく、現在の日本のいたるところに存在する「行きつけの1軒」という雰囲気です。それもそのはず、「海外に暮らす方々に日本を感じてほっとしてもらいたい」と語る店の大将、高橋和弘さんが自ら室内の装飾を手掛けたというこだわりの店なのです。
小紋の店内。寛ぎの空間
店内の半分は椅子席ではなく、掘りごたつ仕様になっていて、日本人にとっては懐かしい雰囲気。カウンターのショーケースには寿司ネタがど~んと置かれ、棚にはボトルキープの焼酎が並んでいます。また、店員さんは着物の上に白い割烹着というのが小紋スタイル。ほとんどが留学生のアルバイトだと思いますが、皆さん上手に着物を着こなしていました。しかし、小紋が本領を発揮するのは何と言ってもその料理です。吟味された新鮮素材をふんだんに使った寿司や刺身は芸術的と言えるほど美しく盛り付けられ、舌だけでなく目も楽しませてくれます。店には「Sushi-Bar COMON」というドイツ語名が付いているくらいですから、一番のお勧めはやはり寿司でしょうか。
「本物の日本の味を知っている人に来てもらいたい。だからお客さんに『フォークが欲しい』と言われるとがっかりする。和食はお箸で食べるものであり、それが文化ですから」と語る高橋さん。その言葉からも彼のこだわりがうかがえます。メニューにはタコの唐揚げや鰻の石焼鍋など、港町ハンブルクならではのものもあり、お勧め料理は季節によって替わるようです。私が驚いたのは、餃子の具の多さ! あんなに丸々と太った餃子を見たのは初めてでした。
カリフォルニア巻きと刺身の盛り合わせ
この店には単身赴任の駐在員の常連さんも多く、夜遅くまで働いた後に来店し、大将の調理仕事がひと段落した後、カウンターで話すのを楽しみにしているとか。店内には家庭的な温かい雰囲気が漂い、歴代のアルバイトの皆さんも家族のように親しくなって、日本に帰ってもずっと連絡を取り合っているそうです。
20名以上であれば、貸切パーティーも受け付けており、誕生会や送別会、会社の行事などに幅広く利用されいてるそうです。大将が1人で台所を切り盛りしているので、店内は決して広くありません。小紋にお出掛けの際は、予約をお勧めします。
月~土 18:00~23:00
Kaiser-Wilhelm-Str. 89
20355 Hamburg
Tel: 040-30703777
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?