エルベ川は、ハンブルク市内を東から西へ横切って流れています。町のほとんどの部分は川の北側にありますが、南側も少しハンブルク市に含まれています。
ドイチェ・バーンで南方からハンブルクへ入るとき、最初に停車するハールブルク(Harburg)駅は、エルベ川の南側に位置しています。ハールブルクは、大きなショッピングセンターも擁する郊外の栄えた町ですが、そこから少し西へ出ると、アルテスラント(Altes Land)地方と呼ばれる広々とした一大果樹園が広がっています。
ここで栽培されている果樹のほとんどは、リンゴ、洋ナシ、プラム、サクランボで、春になると、淡いピンク色の花が一斉に咲き乱れ、ハンブルクっ子の絶好のお花見スポットとなります。また、果樹園に沿って伝統的な木組みの家も点在しており、大きな農家には、装飾が施された門や、馬車ごと通過できる大きなドアなどを見ることができます。のどかな緑の風景と花々を満喫しながら、素敵な家も眺めることのできる素晴らしいお散歩コースと言えます。また、この地方にある小さな教会には、著名なオルガン製作家アルプ・シュニットガーが手掛けたオルガンが設置されている教会もあり、教会を訪ねて歩くのも楽しいかもしれません。
アルテスラントの果樹園の間には、このような木組みの家が点在しています
夏から秋に掛けては次々と果実が実り、この時期の風景も見応えがあります。収穫期にはもぎたての新鮮な果物を農家から直接購入することができますし、農家によっては、自分で収穫体験ができるリンゴ狩りのサービスを提供しているところもあります。これは、特に子どもたちにとっては、きっと楽しい思い出になることでしょう。
果物の収穫が目的なら、車で出掛ける方が便利ですが、お散歩をするのであれば、ハンブルク市内から船で対岸へ渡るコースがお勧めです。ハンブルク港の船着き場(Landungsbrücken)から対岸(Finkenwerder)へ渡り、そこからクランツ(Cranz)までバスで行くルートなら、ハンブルク市内1日乗車券を利用できます。そこからさらに西へは、エルベ川沿いの堤防を散歩するも良し、果樹園の中を散歩するも良し。教会めぐりや少し離れたJorkという街にあるアルテスラント博物館を訪ねるなら、自転車が便利です(船内への自転車の持ち込み可)。その他、ブランケネーゼ(Blankenese)から直接クランツへ行く船も出ています。
エルベ川南岸の堤防から見たハンブルクのブランケネーゼ
大都市ハンブルクからほんの少し離れるだけで、これほど充実した遠足コースがあるとは、嬉しい限りです。厳しい冬を越えて春になったら、ぜひアルテスラントへ足を伸ばしてみてください。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?