ドレスデン・ノイシュタット地区の玄関口と言える場所に立つ黄金のアウグスト強王の騎馬像。そこから北へ延びるハウプト通りにて7月11~14日、今年で22回目となるワインサマー(Wein Sommer)が開催されました。これは、ドイツワインの名産地を抱えるラインラント・プファルツ州のぶどう栽培農家・ワイン醸造業者が、毎年6月から8月に掛けてドイツ国内十数都市を巡回するワイン祭りです。ぶどう栽培農家やワイン醸造業者がそれぞれ1つのスタンドを出し、そこで取り扱うワインを提供、ボトルの注文も受け付けるという一大キャンペーンです。今回は400種類以上のワインやシャンパンが用意されました。
大きな緑のトンネルの下で味わうワインは格別!
ドレスデンでは、近郊の町マイセン特産のマイセンワインが有名なので、このように他地域のワインを紹介するイベントが開かれるというのは、いわばライバルのワインが乗り込んできたような印象を与えると思われがちですが、ドイツワインの名産地の業者と直接話せる機会とあって、むしろ歓迎する向きが強いと言えます。
このハウプト通りではクリスマスマーケットをはじめ、多くの家族向けの祭りが開催されますが、こればかりはワインをテーマにした大人向けのお祭りです。今年は例年になく素晴らしい晴天に恵まれて多くの人で賑わい、夜遅くまでワインや食事を楽しむ人の姿が見られました。さらに、それを盛り上げるべく音楽のライブ演奏も行われ、ラインヘッセン地方のワイン・プリンセス、レナ・ケッセルさんがそこに華を添えていました。
ライブ演奏が場の雰囲気を盛り上げます
ワインの歴史は約8000年前にさかのぼります。古代ローマ時代には、すでに約200種の銘柄があったと言われるように、人類は太古の昔からワインに魅了され続けてきました。ワインと言えば「芳醇」というのがお決まりの枕詞ですが、ワインを一口飲んだ瞬間、フワっとした幸せに満たされるあの感覚は別格です。
この雰囲気に誘われて私も至福の1杯を求め、偶然立ち寄ったのがプファルツ地方ワイン街道沿いの町ボッケンハイムのコール醸造所(Weingut Kohl)のスタンドでした。コール家が代々営んでいる醸造所で、1965年の創業以来、国内の品評会で実に450以上もの金銀銅メダルを獲得しています。同醸造所には暖炉が置かれたワインのテイスティング用の部屋のほか、宿泊施設もあり、ワイン三昧の休暇が可能とのこと。ワインに詳しくなくても、偶然出会ったワインとその醸造所から、自分だけのワインの物語を始めてみるのも素敵ですよね。
ワインサマー:www.weinsommer.de
コール醸造所:www.weingut-kohl-bockenheim.de
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/