街中からクリスマスの飾りがほぼなくなったなと思っていた1月中旬、クリスマスマーケットを彷彿させる大掛かりな2階建ての小屋や塀が、ドレスデン市内中心部のアルトマルクト広場に登場しました。準備期間中、「またクリスマスマーケットが出るの!?」と通り掛かった人の多くは思っていたようです。仕掛け人は、ベルリンを本拠地とする野外イベント会社。毎年、ローテーションで同じ時期に同じイベントが開催されているアルトマルクト広場に、今年から目新しい催しが仲間入りしました。それが、第1回ヴィンターツァウバー(Winterzauber)。訳すと「冬の魔法」です。
十字架教会をバックにメルヘンチックな二階建てのレストランなどが登場
このイベントの目玉は、広さ600㎡のスケートリンクと長さ36mのローデルバーン。それらが、中心地にどどーんとお目見えしたのです。多くの人で賑わう街の中心地のスケートリンクと言えば、有名なのは米ニューヨークのロックフェラーセンターの半地下のプラザに登場するもので、これは映画にもたびたび登場するロマンチックな冬の風物詩となっています。ここドレスデンでも、ノイシュタット側のクリスマスマーケットに昨年初めて小さなスケートリンクが登場したこともあり、このところ流行り始めているようです。
ヴィンターツァウバーでは、ファミリーデーを設けているほか、子どもスケート教室も開催。ショートトラック競技やドレスデンのアイスホッケーチーム「アイスルーヴェン」(Eislöwen)の選手とファンの集い、アイスダンス・ショーなど、スケートリンクにまつわる催しが目白押しです。しかし、イベントの一番の狙いは、大人の夜遊びのためのスケートリンクということだそうで、夜10時まで滑ることが可能。さらに水曜日の夜はDJが入り、金・土曜日の夜はアイスディスコに様変わりします。色とりどりのスポットライトと音楽によって、スケートリンクはしばし都市の異空間となり、人々を非日常へと誘います。周辺には飲食店も充実しており、イベント名が刻印されたグラスを6000個も用意するという熱の入れよう。レンタル用のスケート靴も500足に上り、多くの来場者が期待されています。
ドレスデンの街の真ん中で滑る気分は格別です
ドイツの冬は長く寒く、外遊びと言えば家の裏の小高い丘でのソリ滑りやクロスカントリー、凍った湖でのスケートが連想されます。音楽を聴きながら夜遅くまで飲んだり滑ったりして、ひと味違う冬の遊びを提案したい、そして人々が新たな冬の楽しみ方を見付け、それが定着してほしいというのが、主催者の狙いなのでしょう。3月9日まで開催。
www.dresdner-winterzauber-2014.de
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
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