わずかな道具と自らの肉体を使って「登る」スポーツ、フリークライミング。ここドレスデンではフリークライミング(Klettern)を趣味としている人がとても多いです。
その理由は、町からそう遠くない「ザクセンスイス」と呼ばれる国立公園内の空へニョキっと突き出した奇岩群。この地帯の岩々は軟らかい砂岩でできているため、気候に影響を受け形が変わり、独特な景観をつくりあげています(※注)。こんな雄大で不可思議な大自然が待っていたら、ロッククライマー達が魅了されないわけがありません。
ザクセンスイス国立公園内の奇岩でロッククライミングを楽しむ
一方、日常で少しの時間を使った手頃な趣味としては、ボルダリングジムが有益でしょう。ボルダリング(Bouldern)とは、登り方のスタイルの一つであり、専用シューズとチョーク(手の汗を吸収し、汗による滑りを防ぐ)のみを用いて巨岩を登るスポーツです。
2020年開催予定の東京オリンピックでは、このボルダリングが正式種目に追加されました。最近、知名度が上がっているこのスポーツの人気を探るため、ドレスデンの北部にある人気のボルダリングジム「マンダラ(Mandala)」を見学してきました。
ボルダリングジム・マンダラの様子
巨大なジムの建物の中には、難易度によって色分けされた突起物の付いた人工壁が並んでいます。利用者は自分に合ったコースカラーの突起物に手や足、時には指を引っかけて、上を目指します。落下に備え厚いマットが部屋全体に敷かれており、コースが空くのを待つ人々がマットに腰をおろし、他の利用者の登り方を参考にしながら、利用者同士で交流を深めていました。ジムでは一人で参加してもボルダリングを切り口に、気軽に周りの人達との会話が始まります。
毎日7時(土・日・祝日は9時)から23時まで利用することができ、仕事後のリフレッシュに立ち寄る人も多いのだとか。建物の中には焼きたてのピザや生ビールが楽しめるレストランスペース、筋力トレーニングのためのスペースも完備。初心者や子供のための指導クラスもあります。
幅広い楽しみ方のあるジムで、さっそくボルダリングを始めてみませんか?
マンダラ:http://boulderhalle-dresden.de
(※注)ザクセンスイスでは自然保護の理由から、クライミング用チョークなどの化学的な道具や岩を傷つけるおそれのある道具類の使用が禁止されています。ロッククライミングを行う際には事前にザクセンスイス国立公園のウェブサイトでご確認ください。
ザクセンスイス国立公園:www.nationalpark-saechsische-schweiz.de
東京都出身。ドイツ、西洋美術への関心と現在も続く職人の放浪修行(Walz ヴァルツ)に衝撃を受け、2009年に渡独。ドレスデン工科大学美術史科在籍。