ドイツ統一記念日の祭日を利用して、以前から行きたかったラウエンブルクに行ってきました。ラウエンブルクは、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の最南端の小さな街で、三つの州(シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州、ニーダ-ザクセン州、メクレンブルク=フォアポンメルン州)のちょうど州境に位置しています。ハンブルクからは南東へ約40キロ、ベルリンへ向かう国道B5の途中にあります。
エルプ通りに立ち並ぶ木組みの家
ハンブルク中央駅からリュ-ネブルクで乗り換えて、二つ目がラウエンブルク・エルベ駅。約1時間半の電車の旅が終わる頃、エルベ川沿いの赤いレンガ造りの家々が立ち並ぶかわいらしい街が見えてきました。小さな無人駅にワクワクしながら下車。あいにく天気は曇り、時々雨。夏の晴れた日にはきっと多くの観光客でにぎわうのでしょう。それでも、観光客らしき人々も結構見かけました。
ブル-がすてきな古い郵便箱
駅を出て小さな橋を渡ると、すぐに旧市街の始まりです。古い石畳の「エルプ通り」には、12~16世紀の北ドイツ特有の木組みの家が立ち並び、まるでタイムスリップしたかのよう。馬に乗った騎士や、お姫様を乗せた馬車が出てきそうな感じです。建物だけでなく、街の2カ所にある郵便箱もかなりのアンティーク。アールヌーヴォー調の装飾が施された青色の郵便箱は、現在も使われているそうです。この街最古(1227年)の聖マリアマクダレナ教会の坂を上っていくと、現在は塔だけ残っているラウエンブルク城跡に着きます。この丘からは、先ほど電車で通ったエルプ橋の下を小さな船が行き来するエルベ川と、美しい街の風景を満喫できました。
エルプ通りと平行して、川沿いには遊歩道が伸びています。ここには115年の歴史を誇る蒸気船「カイザ-ヴィルヘルム号」が停泊していました。このレトロな汽船は夏の間だけ、観光客を乗せて動くのだそうです。その船着き場のあるルーファー広場で、不思議な銅像が立っているのを見つけました。「ルーファー」(Rufer 、呼ぶ人)というこの銅像は、約185センチの若い船員労働者の男性で、エルベ川に向かって何か叫んでいます。
エルベ川に向かって立つ「呼ぶ人」の銅像
船と船に関わる人々によって栄えてきた街のシンボルとして建てられた像ですが、1959年の除幕式の際、当時の市長は東西に分断されたドイツに対する思いをこの像に託し、この像を「自由を叫ぶ人」と呼んだそうです。というのも実は、ラウエンブルクは、ドイツが東西に分断された時の国境の街でした。「呼ぶ人」の銅像が立って約30年後に、ドイツは再統一されました。「呼ぶ人」は現在は、船に向かって呼びかける愉快な船員として愛され、訪れる人々を和ませています。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。